IWABEメッセージ
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第4回 「ベトナムに思う」
先日、一般社団法人東海住宅産業協会の主催で、ベトナムのハノイへ出かけてきました。
株式会社フジケン様が、RC造4階建の高級戸建住宅(全6戸)を建設中で、その現場見学をさせていただきました。 軍から譲り受けた広大な土地の一角を開発 ・ 分譲するというプロジェクトです。現地企業との合弁にて着々と工事は進められていました。
言葉、生活スタイル、政治・経済体制、 法制度、商慣習、建築施工への考え方など、 広い意味で全く文化の異なる環境で、 通訳を介しつつ一から十まで懇切丁寧に、忍耐強く何度も何度も指示や意向を伝えて建物を完成させようとする現地担当者の方々のご苦労には本当に頭が下がる思いがしました。 そのパイオニア・スピリットには心より敬服するのみです。
ハノイの街は、急激な経済成長を遂げている最中であり、次々と高層ビルが建設され、爆発的に急増した自動車やオートバイの利用台数にインフラ整備が全然追い着いていない状況です。 しかし庶民の暮らしは、 昔ながらの雑然とした商店街や決して衛生的とは言えない市場に見られるように、のんびりゆっくりと時が流れているようで、 極度の利潤追求や、効率とスピードに意識を奪われて上方にしか目が向かない人々による喧騒などとは全く隔絶しているように感じられました。
建国の理念実現のために必要とされた政治権力が、物質的豊かさや金銭的富裕を希求するという人間の本性と結びついた時、結果として社会に富の偏在を生じさせてしまうということは、これまでにも様々な国で見られた現象です。
幸福の尺度は、個人によって異なり、民族や国によっても異なるでしょう。 そうした中で、好むと好まざるとに拘わらず、ベトナムの人々は、その古き良き美風もろとも、今大きな歴史・文化的うねりの渦中に投げ込まれているのではないでしようか。中国とは緊張関係にありながら米国と並ぶ最大の貿易相手国として接していかねばなりません。東南アジアの国として、地政学的にも、歴史的経緯からしても、複雑な連立方程式を解いていかざるをえない立場にあるのです。
小さな子供を抱っこしながらご近所と談笑する旧市街の普通の人々の前途が明るいものであることを、遠く島国・日本より願うばかりです。(他人事ではありませんが。)
ハノイは暖かかったですが、日本は朝夕寒くなっています。インフルエンザの流行にも気を付けなくてはなりません。どうか体調管理には十分ご注意ください。
先ずはこれから年末まで無事故・無災害を達成できるよう、周囲にある小さな危険の芽を見つけ摘み取ってください。危険は思わぬところに潜んでいます。 作業環境条件の変化は危険の増大につながります。変化を察知し、事故は未然に防ぎましょう。
ご安全に!