IWABEメッセージ
第237回 日本人の仕来りと疑いの心
10月20日は「恵比須講」、つまり「恵比須祭り」です。七福神のひとりである恵比須様は、商家が商売繁盛を願ってお祀りをするものです。春秋と二度に渡り行事があります。そこでお供えしたものを元手に稼ぎに出かけ春ならば秋のこの恵比須講のときに富を携えて戻ってくるとされています。また、この日は「誓文払い」といって日頃の商売上やむを得ず嘘をついたことの罪を祓う風習があります。誓文とは神様に誓う起請文のことです。そこで10月20日までに来年の祈願を便箋に書き二通りつくっておき、一通は神棚か仏壇にお供え、そして一通は手元において、折りにふれて読み返して夢の確認をするのです。よく「来年のことを言うと鬼が笑う」といいますが、神様に誓うタイミングは10月20日です。鬼に笑われても、あとで自分が泣くよりずっとましです。ぜひ、10月の夢祈願を試してみて下さい。念のためにくれぐれも来年の10月20日を忘れないでください。これは「幸せを呼び込む日本人の仕来り」だそうです。一度夢の種を蒔こうではありませんか。
「全員が賛成したら、その計画は危ない」。戦前に活躍した大実業家堤康次郎氏の残した名言です。この言葉はいまでも十二分に通用します。新しい試みというものは、だいたいそうです。しかし、わかっているようで、このワナに嵌ってしまうことが多いものです。会社での会議などは、みんなが賛成すると「うまくいかないはずがない」と思ってしまうものです。皆が「そうだ、そうだ」と頷くのは、後期追従者が現われる時期だから、まもなく流行は終わるという段階なのです。ここからわかるのは皆が賛成することは疑ってかかったほうが良いということです。とくに選挙のときに吹く風というのがそうです。小泉政権時の郵政解散でも2009年の民主党の政権交代選挙でも、いわゆる風が吹いて、それに乗ったほうが圧勝した。大衆は熱に浮かされた方向に向くものの、その現象は長続きしません。新しい試みで異論が出ないものは、実の所新しくも何ともありません。ただのアイディアであることが多いのです。とりあえず疑ってみることです。建設業の営業も皆と同じレベルでは発想失格といえます。よく考え社会の原理を知ることです。