IWABEメッセージ
第250回 今日を懸命に生きる
論語の一文が過ります。「今汝は画れり」。仕事で壁にぶつかった時の助け言葉です。困難に立ち向かうときは誰でも不安に思うもです。しかし、最初からできないと逃げてしまっては、何も成し遂げられません。どんな遠い道のりも最初の一歩を踏み出さなければ少しも前に進めませんし、また、どんな書物も最初の1ページを開かなければ、何事も学べないのです。やる前からできないと言うのは、できないのではなく、やらないだけなのです。どんな大工事、いや営繕工事でも、全て前向きな姿勢こそが大切です。「できない」と言っていいのは、その道の半ばで力尽きたときだけ。そう思うとあなたの周りには「できる」がいっぱいではありませんか。
仕事との対面時には胸の中で「今汝は画れり」の言葉を唱えながら事にあたっています。私は、長期の経営計画を立てたことはありません。今日のことさえうまくいかず、明日も分からないのは、5年先が見えるわけがないと思っていたからです。そのため、今日1日を一生懸命に過ごそう。そして、今日1日を最大に仕事をし、さらに工夫を重ねれば明日があると考えてきました。そして、その1日の連続が3年経ち、5年経つと大きな成果になっていると考えたのです。どうなるか分からない先のことを言うよりは、今日1日をパーフェクトに生きることの方が大事だということです。今まで戦争といえる業界で経営を行ってきました。その結果、「今日を完全に生きれば、必ず明日が見える」と断言できます。逆説的ですが、この生き方を10年も続けてきますと、先の変化が見えてきたのです。
「一芸に秀でれば、すべてに通じる」ということなのです。つまり、一生懸命生きれば万般に通じるものを体得できるのです。また将来をとは今日を生きることの延長線上にしかないのです。私は呪文を持っています。人間の弱さからです。自然に口から出てきます。「ネルゾ根太。タノムゾ垂木。梁をキケ。ナニゴトアレバオコセ屋ノ棟」3回唱えます。何事か起きた時は家の柱や土台が知らせてくれる。これ安全の言葉です。そう言う私も弱い人間です。皆様良いお年をお迎え下さい。