IWABEメッセージ
第257回 職人は芸術だ
今日も暑い気温は35℃をオーバーです。心配していた工事現場での熱中症の患者が発生します。仕事は辛い。しかし、これも勤めです。そう思って働く人は疲れやすい。辛いが辛抱する人もあります。辛抱は暗い心の姿です。いつかは限度が来ます。そして救急車の世話となるのです。男らしい仕事とは何でも男らしい心でやるということです。どんな嫌な仕事、つまらない仕事でも、サッパリした心でキビキビとやり得る心、これが男らしさです。愚痴をいわず、ため息をつかず、義を守り道に副って男らしく進む。現在の仕事に全力をつくして心安らかな人間になる。これが建設人の心の生き方だと思います。明るくひらける道は、仕事を楽しむことです。働くことが好きな心、これには暗さがわきません。働くほど自信が出る、よろこびも湧く。なんでも勇んで取り組む構え、常に明るく働く心構え、これが一番たのしい生き方になります。岡崎康生の現場は地下工事に着手し、3mもある耐圧盤には3000m3のコンクリートを流し込みます。大好きな職人がいます。それは鉄筋工の親方で、彼の仕事は神業的な配筋をします、彼こそ本物の芸術家です。現場を覗く楽しみと仕事の素晴らしさを味わうことが出来ます。
奈良に一刀彫という小さな人形があります。一見すると一刀で彫ったような風合いがありますが、むろん一刀では到底彫り出せるものではありません。あたかも一刀で彫ったような風合いを出すことに職人は苦労するのです。なぜ風合いを必要とするのかといえば、それは神様にお供えする人形だからです。人間が触れれば触れるほど、人形は汚れます。だから「ほとんど触れておりません、自然のままでございます」と神様にお示しするため、一刀で彫ったような風合いを出すのです。しかも、人に見えない足の裏まで美しく彫っています。人に見えずとも、神様には見えるからです。これが本当の奈良人形の心です。たとえ見えなくても、いや、むしろ見えないところに丁寧な仕事をするのが本物の職人です。人形のごとく建造物もそうでありたいものです。それこそ岩部の社風なのかもしれません。