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第1回 「丁寧な仕事」

 本居宣長は江戸時代の国学者で、日本最古の歴史書である『古事記』について研究した『古事記伝』を35年の歳月をかけて書き上げた人物です。私自身は「宣長さん」と呼んでいますが、この宣長さんについては今後たびたび登場すると思います。その都度エピソードを交えながらご紹介できたらと考えています。
 三重県の松阪市にある本居宣長記念館の吉田悦之館長は、「この書は宣長の自筆か」と真贋の鑑定を依頼されることがあるそうです。
 ある時、吉田館長は、「この資料の字は上手すぎるので本物ではない」と鑑定依頼者に答えたと言います。宣長さんの書く字は、有名な書家の字のように 「 上手すぎる 」 ものではなく、「 丁寧で美しい 」 というのです。
 確かに宣長さんの書体は、一文字一文字に真心を込めて、つまり一文字一文字を大切にして書かれた 「 丁寧な 」 ものです。上手くある前に、丁寧でなくてはならない。
 建設の仕事も同じです。
 先ずは、誠心誠意、相手に心持ちが伝わるほどに丁寧なものづくりに努め、その上で、上手で高品質な仕事に仕上げなければならない。この順序が大切だと思います。
 宣長さんの純朴な文字から大切なことを教えられました。
 さて、酷暑の日々が続きます。熱中症は、「疑わしきは即治療で早期回復」が大原則です。台風などの気象条件の変化にも、早めの情報収集で適切な事前対応を心がけてください。
 8月2日に会長の「お別れの会」を開催します。皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。
 ご安全に。

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