IWABEメッセージ
第230回 まず一献
「男じゃないか胸を張れ、万策ここに尽きるとも、天あり地あり未来あり、君盃を挙げたまえ、いざ我が伴よ、まず一献」。東日本大震災で、会社存続の危機に襲われ、津波で流出したその工場跡地で涙とともに歌った一節だそうです。債権者を訪ねて、誠心誠意、現状を説明して理解を求める。「社会が悪い、時代が悪い、大震災さえなかったら、そして、相手が悪い」と責任を転嫁するのでなく、気概を持って情熱を燃やせば、明るい未来が必ずやってくる。それこそが、我々に与えられた希望と勇気ではないでしょうか。
可能な限りつくせることはすべて行った。もうおしまいだとしても、天があり、大地があり、明日があるのだ。命がある限り、そして燃える情熱があるかぎり、輝く明日がある。苦しさに耐え再建してほしい。これこそ己の心にもいい聞かせて努力しなければならないことです。責任転嫁せず気概を持てと教えられています。天職である建設業社員一同が心を一つに出来る一歌ではないでしょうか。
「おいあくま」と覚えて下さい。これは東大寺長老であられた清水公照さんの言葉です。「おこるな」「いばるな」「あせるな」「くさるな」「まけるな」の頭文字をとった戒めの言葉です。頭に入れて下さい。地震の規模はマグニチュード9.0で現代文明が経験した地殻変動では5指に入る破壊力です。1979年アメリカのスリーマイル島原子力発電所で起きた2次冷却水の給水ポンプの故障による放射能漏れ事故は記憶に新しいところです。福島第一原発が水素爆発で建屋が吹っ飛びました。2、3、4号にも異変が伝えられ世界各国が震え上がりました。炉心溶融の文字が見出しとなり、安全神話が崩されさりました。20mを越す大津波は15?先まで舐めつくします。死者と行方不明者は20,000人をオーバーしました。そして町が消える。この地変がいかなる数字で歴史に刻まれるでしょうか。不気味に沈黙する来るべき東海、東南海地震や首都直下の大地震では、あえて想定外を想定したいものです。眼前の現実に学ばねば、平穏を断たれた人々が浮かばれません。この時こそ災害対応マニュアルを復習して、各家庭内の話し合いの一助としていただければ有難いです。