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第267回 暗い人とは付合うな

 江戸初期の武将で独眼竜と称していた仙台62万石の大名伊達政宗の名言はすばらしい。「いい加減さ。明るさ」が大好きなのです。「この世に客に来たと思えば何の苦もなし」。その通りです。長い人生には望むと望まぬとにかかわらず「暗く」なることも多々あります。それもまた事実だ。しかし、過度の暗さは生活を一層貧しくします。こんな本を読んだことを思い出します。「生きていく私」。ベストセラーとなりました。作者は98歳で一生を終えた宇野千代さんです。「暗い人と付き合っちゃダメよ。うつるから」。まるで伝染病のような面白い発言です。自由奔放な性格で夫を捨てて上京し、尾崎士郎、東郷青児という錚々たる文化人と結婚し、飛んでる生活を送っていた女性ですが、その言葉は人間関係の本質ではないでしょうか。たしかに何でも否定的に考える「暗い人」と付き合っていると、知らず知らずのうち言葉数が少なくなってしまう。気がつくと話し声も心なく小さくなっているようです。人は誰でも言葉を覚え、思考を身につけたときから、ある意味では暗いともいえます。いいことや悪いこと、そして、普通のことなど、いろいろ考えますが「ものを考える」ということは多かれ少なかれ暗いことだと思います。では暗い人とはどのような人間かというと、私の過去の経験からこんな定義をしてみました。何事に関しても必要以上に消極的に考え、悩まなくてもいいことを悩み、その姿を見せ、あらゆる局面で否定的な発言をし対応する。とくに値決めの時は声が小さい。その人物は周囲を減らし、会社のイメージをマイナスにして暗くする。対応する側はどうするか。それはそのペースに入らず勇気と実行力あるのみです。実行するに必要なことは「決心」一つです。「やる」と決めてやればいいだけのことでそんなにむずかしくありません。理解はしていますが、あと一歩がむずかしいのです。これを打破するには何が必要かというと、それは「腹をくくる」ことです。「人生三風五雨晴二日」という格言があります。長く生きる一生をこの世の中で生活するにあたり「うつる」ことから逃げることです。
 今月は少々哲学的になって申し訳ありません。

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